Behind the 2020 Tokyo

2020 Tokyo同時進行小説&オリジナル小説・エッセー・コラムをブログとYouTubeで展開しています。

某出版社から送られてきた選評二作品をご紹介

何年か前に短編小説(未完成) を某出版社に送ったところ運よく見てくれた人がいて、講評を賜りましたので、一部ご紹介します。~まだ出版の機会を得ていませんが、テレビや映画の原作・配役も考えて創作してみました。版権はまだありません。父の本懐は事実に基づいており亡き祖母・父の反対でこれまで公表を控えておりました。~ー。



~お寄せ下さいましたご著作「父の本懐」・「透明慕情」につきまして、担当いたします部署と共に拝読し、出来栄えや面白さを評価申し上げると同時に、公共性格・刊行の意義・社会的ニーズ・読者獲得の可能性を検討いたしました。その場で挙げられた選評を以下ご報告いたします。作品の完成期待しております。

◆選評◆

■まずは「父の本懐」から見てゆくことにする。中国残留孤児という、日本の宿題に真正面から対峙したこの作品は、人間というものの心の在り方を問う力作である。偽者の残留孤児が日本にやってきて大歓待を受ける。そしてそのあとにやって来た、本当の残留孤児。彼女らは怨み一つ言うこともなく、それどころか「父の生まれ故郷については、ずっと胸に抱いておりました。私たちはご親戚に会うだけでも嬉しく思います。~中略~実家にいるあの人たち二家族十人~偽物者~は、そのまま帰国させてあげてください。何事も穏便にお過ごしくださることを希望いたします。私たちやあの人たちも皆戦争の被害者なのですから~」と口にするだけの肝要さを有しているのである。日本と中国の間に起きた不幸な戦争は形の上では連合国への無条件降伏で終結している。しかし、その戦争に巻き込まれた人々にとって、戦争はまだ続いているのである。そして、特攻隊に行き遅れた父もまた、戦争の被害者であった。その父の心の旅路を追って、「私」が北海道の富良野へ赴くというストーリー展開は巧みで、「父の本懐」が明らかになる場面は感動的ですらあった。「私」と父が酒を酌み交わす場面も同様にそうである。「私」、父、祖母と三代を遡る心の奇跡は、昭和という時代が背負った十字架を辿る旅だった、ということが言えよう。


■他方、「透明慕情」は大いに楽しく読むことができる作品である。これは男性の見果てぬ夢というべき、乙女への恋を扱った恋愛小説に仕上がっている。主人公の男性は中学生の娘がいる中年男。対する恋の相手は、自分の娘の同級生なのである。しかもその恋の相手は、会社の同僚の娘である。それでも「私」は、その秘めやかな恋の虜となってしまう。「歳の離れ過ぎた淡い想い。男と女は歳の差ではないという人がいる。だが、30年というギャップはあまりにも大きい~中略~他人には笑い話になるだろうが、惹かれてしまったものは仕方がない。私は禁断の赤い糸に巻かれてしまったのだ」という、切ない想いに悶々としている。その禁断の恋愛を主軸にして、会社での出世街道から完全に外れた哀しみ、家庭の不協和音なども絡ませて、この恋愛小説は進んでいく。そういう、諸々の事柄があるからこそ、中年男のラブストーリーは、どこか滑稽であり、悲しく、そして美しいのである。





★まとめ★「父の本懐」で読者に投げかけたテーマは、日本人の誰もが背負わなくてはならない宿命なのかも知れない。「透明慕情」は、男の誰もが夢見る、見果てぬ夢なのだろう。それらの全く異なるテーマは、しかしながら意外とこれまで、扱われなかった題材のような気がしなくもない。アジア外交で何かと話題を投げかけている現在の我が国だからこそ、「父の本懐」のような真摯なテーマに沿った作品が世に出る意味は、極めて大きいはずである。そしてまた、中年男の恋愛小説といえば、とかくこれまでは生臭いものが多かった。「透明慕情」いわゆる乙女との慕情のような、プラトニックな味わいの作品は、皆無といっても良いのではなかろうか。そうした意味において、この2作品が世に出る意義は小さくないと考える。





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